子供の歯肉炎は、子供における歯肉の炎症であり、主に歯垢やバイ菌の蓄積によって引き起こされることが多いです。これは、歯周病の初期段階であり、適切な口腔ケアが行われていない場合に発生することが特徴です。子供の口腔内は時に清潔が保たれず、特に甘い物を好む傾向があるため、歯肉炎になりやすいと言えます。

歯肉炎の原因

子供の歯肉炎の主な原因は、以下のとおりです。

1. 不十分な口腔衛生
 毎日の歯磨きが不十分だと、歯垢が形成されます。歯垢は細菌の塊であり、これが歯肉に炎症を引き起こします。

2. 食生活
甘いお菓子やジュースなどは歯にも影響もありバランスのとれた食事を心がけましょう。

3. 成長過程
特に乳歯から永久歯に生え変わる時期は、歯肉が不安定であるため、炎症を起こしやすいです。

4.遺伝的要因
 一部の子供は、遺伝的に歯肉炎になりやすい体質を持つことがあります。

5.ホルモンの変動
 思春期の成長期にホルモンの変化が起こることで、歯肉も影響を受けることがあります。

歯肉炎の症状として

子供の歯肉炎の症状には、以下のようなものが見られます。

1 .歯茎の赤み
健康な歯茎は薄いピンク色をしていますが、歯肉炎になると赤みが増します。

2 .腫れ
歯茎が腫れ、触れると痛みを伴うことがあります。

 3. 出血
歯磨きの際に出血することが多くなります。特に、歯ブラシが当たった部分から出血しやすいです。

4. 悪臭
 口腔内が不衛生な状態になると、異臭がすることがあります。

5 .歯磨きの痛み
 歯磨きが不快または痛いと感じる子供もいます。

 歯肉炎の予防として

子供の歯肉炎を予防するためには、以下のポイントを意識することが大切です。

1. 正しい歯磨き習慣
 子供には、少なくとも朝と晩の2回、フッ素入りの歯磨き粉を使って歯磨きをするように教えましょう。特に歯と歯の間や奥歯を丁寧に磨くことが重要です。

2. 定期的な歯科検診
1年に2回は歯科医を訪れ、プロフェッショナルなクリーニングを受けることが推奨されます。これにより、歯石の除去や早期発見が可能となります。

3.健康的な食事
 甘い食べ物や飲み物を控え、野菜や果物、乳製品を多く摂取するバランスの良い食事を心がけましょう。

4. 保護者の役割
小さな子供の場合、保護者が歯磨きを手伝い、適切な方法を教えることが大切です。また、習慣として楽しみながら歯磨きを行えるように工夫することも有効です。

5. フッ素の利用
フッ素は歯の強化に役立ちます。フッ素入りの歯磨き粉や、フッ素塗布を歯科医院で受けることも検討してください。

 歯肉炎の治療

子供が歯肉炎を発症した場合、まずは適切な口腔ケアを行うことが必要です。歯科医師による専門的な治療が必要な場合もあります。治療方法としては、以下が一般的です。

プロフェッショナルによるクリーニングで歯科衛生士や歯科医師による歯石除去と適切なクリーニングを受けることで、歯肉の健康が改善されます。

抗生物質
 重度の歯肉炎の場合、抗生物質が処方されることがあります。

継続的なケア
歯肉炎の症状が改善された後も、維持のためには引き続きしっかりとした口腔ケアが求められます。

子供の歯肉炎は、早期に対応することで予防や治療が可能です。親としては、子供の口腔衛生を随時確認し、健康的な生活習慣を促すことが重要です。歯肉炎は簡単に防げる病気ですが、その影響が将来的な歯の健康に大きく関わるため、注意深い対応が必要です。定期的な歯科受診と、健やかな口腔ケアを心がけることが、子供の健全な成長に貢献するでしょう。

【監修】　歯科医師　中野真伍
2014年3月
大阪歯科大学卒業
2015年4月
大阪歯科大学付属病院にて研修
2016年4月
大阪市内の歯科医院にて研修
2021年4月
医療法人正歯会たまご歯科クリニックにて院長として就任
現在に至る